(みどころ)
いまどきのキャリアウー・マン、恋にはちょっと不器用な33歳・野咲民子 (浅野ゆう子)。一方、若さと肉体を武器に男に突き進む23歳・北島夏生(奥山佳恵)――― キャラクターの異なる2人の女が、それぞれ人生の伴侶に選んだ男が、なんと同一人物だったことから始まるドラマ。
おまけに、その。“重婚男”・日高啓太郎(佐野史郎)は2人を残して行方不明になってしまうのだ。手がかりは双方の家に共通して残されたイーグルスのレコードと、北陸地方に赤いマルが印されている地図帳。夫の行方を迫おうと決意した2人は、地図帳を頼りにレンタカーの赤いオープンカーに乗り込んで、一緒に旅に出発する。こうして、イーグルスのサウンドをバックに北陸地方を舞台に繰り広げられる。ロードムービータッチの女たちのドラマが展開していくことに・・・。民子としては、ふたまたをかけられていただけでもショックなのに、同じ女として嫌悪感すら覚えるタイプの夏生との道中は苦痛そのもの。さらに啓太郎の女たちが港港にいることが発覚。仕事と結婚を両立させた大人の女としての自信やプライドもズタズタに。しかし、そんな旅を繰り広げる中で2人の間にほのかな友情が生まれていく。
いったいどちらと暮らしているときの啓太郎が本物だったのか、そして最後に啓太郎に選ばれるのはどちらなのか。女2人が男を追いかけ、辿り着いた最後の土地は佐渡。その佐渡で、ようやく追いつめた啓太郎を前にして、2人が選択する結論は―――!?
脚本は、男女の恋愛模様や夫婦間の愛を独特の鋭く深いセリフで描いてきた、野沢尚。
また、ロードムービーさながらに女2人の大追跡を描くこの作品では、佐渡島を中心に北陸地方でロケを敢行している。
主演の浅野ゆう子は「とにかく野沢さんの脚本がすごく面白い。最初、ロードムービータッチのドラマと聞いて、日本ではスケール的に難しいかなと思っていました。
でも、北海道ロケなんていう安易な方向に走らず、佐渡島を舞台にしたのは斬新で大正解!民子と夏生は10歳ほど年齢が違うという設定ですが、そんな2人が旅を続けるうちに奇妙な友情を冑てる・・・。その過程を見てほしい」と語った。
演出の藤田明二監督は「日本のテレビドラマとしては新しいジャンルの作品。ラプストーリーであり、ロードムービーでもあり、サスペンスの要素もある。野沢さん一流の会話の妙が面白いし、バックに流れるイーグルスの曲に合わせて北陸で“カリフォルニア”を撮ったつもり」と話している。
(あらすじ)
野咲民子(浅野ゆう子)は女性雑誌の敏腕編集長。華やかな活躍ぶりでマスコミにも注目されているが、実は1年前に結婚したばかりの商社マンの夫・日高啓太郎(佐野史郎)との夫婦生活では“甘える女”そのもの。啓太郎に唇を使ってイヤリングを外してもらうのが好きで、仕事で留守がちの夫に会えないときは寂しくて仕方がない。だが、その夜も帰宅したとたん啓太郎はバンコクに出張だといい、そそくさと愛の巣である高級マンションを後にする。
その直後、下町の一軒家ではホステス・北島夏生(奥山佳恵)が、成金趣味のベッドの上で結婚1年の夫、啓太郎に唇でイヤリングを外してもらっていた。
夏生と暮らす啓太郎はエリート商社員とはうちってかわって下町の兄チャンふう。
外国人労働者のブローカーを生業にしているらしい。ところが啓太郎はバンコクヘ労働者の手配に行くと行って出かけたまま、帰ってこない。
怒りのあまり離婚すると言い出した夏生が役所に離婚届けを出しにいくと、なんとそもそも2人の婚姻届が提出されていないとわかる。
その後、ひょんなことから民子の存在を突き止めた夏生が編集部に乗り込んだことから、民子は事情を知り、愕然。調べると、民子の方の婚姻届も提出されておらず、民子と夏生はまんまと啓太郎に重婚されていたとわかる。2人はお互いの住居を見てあまりの趣味の違う暮らしぶりに驚くが、そんな中、共通して双方の家に残されていたのはイーグルスのベストアルバムと地図帳だけと判明。しかも地図には北陸の海沿いの街にマジックで赤い印が点々とつけられていた。
2人はすぐさま啓太郎の友人・宮前健介(西村雅彦)のもとへ押し掛け、啓太郎の正体を問いただす。女2人に凄い剣幕で迫られた健介は、実は啓太郎が地球儀を売り歩くセールスマンで、北陸の港町近辺を回っている人物だと秘密を打ち明ける。それを聞いた夏生はすぐに北陸に向かい、啓太郎を迫いかけると言い出す。民子もいったんは躊躇したものの、やはり一緒に旅に出る決心をする。
こうして地図の印を頼りに北陸の珍道中をスタートした2人。途中、敦賀の小学校に勤める女教師・鮎子(野村真美)や柏崎の飲み屋の女将、珠子(五月みどり)も啓太郎の訪れを待ちわびる女だとわかる。彼女たちは、なぜか啓太郎の名が×で抹消された戸籍謄本をお守りのように持っていたのだが―――― !? |