物語は事件から始まります。 その事件の描写はあまりにも非情で、これからの展開がまったく読めず、文字を読んでいるだけなのに、事件の残忍さに目を覆いたくなります。 ただ、物語は思いもかけない方向に向かって行き、残忍な事件から心を傷つけずにはいられないような、人間の心理に及んでいきます。 物語のカラーが中盤から大きく変わったような印象を受ける一冊です。
by rio (2007-04-01)
安部公房の砂の女のような作品です。 実際の事件に導かれるようにして、彼はこの作品を書いた。 北野武の初監督映画、その男、凶暴につき の小説版を04年1月の深作欣二監督の命日に出版してる。そのあとがきで、自分の人生を吐露してる。 そして、深紅の冒頭で描かれている事件のモデルの事件のあった日に自らに命を断っている。 現実と虚構が入り混じっている。 この作品は、血生臭くない。なざなら、誰もその現場にいないからだ。 この作品は、彼にとってどんな意味を持つのか?
by sadamu (2006-12-27)
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