野沢尚ーオフィシャルサイトー
ホーム
プロフィール
作品紹介
連続ドラマ
単発ドラマ
小説
映画
舞台
その他
海外
ブログ
スペシャル
連続ドラマ
TERM
フジテレビ 1999年10月11日(月)夜9時
TITLE
『氷の世界』
The Inanimate World
 
CAST
廣川英器 竹野内豊
江木塔子 松嶋菜々子
庄野月子 内田有紀
追田正午 金子賢
追田七海 片瀬那奈
井出サトミ 松尾れい子
烏城眞砂子 中嶋朋子
久松皓一 及川光博
烏城武史 仲村トオル
    ほか
STAFF
原作・脚本 野沢尚
プロデュース 喜多麗子
演出 光野道夫
田島大輔
主題歌 氷室京介
『ダイヤモンド・ダスト』
(ポリドール・レコード)
音楽 岩代太郎
オリジナルサウンドトラック
(ポニーキャニオン)
制作 フジテレビ第一制作部

内容紹介
『アイノアカシニ、イノチヲササグ……』
外資・保険調査部に勤める・廣川英器(竹野内豊)は大手保険会社から引き抜かれ、モラルリスク(保険金詐欺)を見分ける独特の嗅覚を持ちながら、“人間の命”を金に換えてゆく矛盾との戦いの中に身を置いていた。

 以前、英器が調査して保険契約を通した家庭に事件が起きた。
 掛け金も保障額も低額だったため英器はさして疑いなどしなかったが、借金返済のために、小学生の娘の命と引換えに保険金を騙し取ろうとしたした実母が逮捕された。母は実娘に火の油を注ぎ殺人を企てたのだった。少女は一命を取り留めたものの重度の火傷を負わされていた。が、少女は英器に懇願する。『自分の不注意だから保証金を払って欲しい、母親が幸せになるためにはお金が必要なんだ』と……。
 英器はこの事件をきっかけに、暗黒の海底へと自ら身を捧げてしまう事になる。
 英器は、自責の念とやり切れなさの中で次の調査に取り組む。
 都内近郊の永和女学館の教師・池永苑恵(木村多江)の転落事故死についての死亡保険金調査だ。
 その頃、一通の投書が町田南署に舞い込む。「永和女学館女教師・池永苑恵の死は他殺で、犯人は学校内部にいる」と。その通告文に過剰反応したのが、キャリア組の刑事課長・烏城武史(仲村トオル)だ。彼は出世コースから外され、妻の眞砂子(中嶋朋子)
との関係も冷え切っていた。単なる事故死ではなさそうなこの事件を利用し、再び本署起死回生を狙おうと彼は企んだ。
 その投書の存在を知った英器の恋人、交通課の警官・庄野月子(内田有紀)は、職務違反を覚悟の上で、その内部情報を流す。
月子は、警官である事より、女を選んでしまう自分が嫌いではなかった。
 英器は月子の協力もあり、調査を進めていくうちに女教師・苑恵の同僚、地学教師、江木塔子(松嶋菜々子)の婚約者で青年実業家の久松皓一(及川光博)が変死していたことに気づく。
それも苑恵の事故死と同時期だったことも。
 英器は、塔子の心の中に潜む凶器を探るため、塔子の背後に忍び寄っていく。
 また一人、金沢から或る男が上京してくる。塔子の大学時代からの親友で、久松をよく知る人物、迫田正午(金子賢)だ。彼の上京の理由は、塔子への愛憎……かもしれない。
 疑いながらもいつの間にか激しい愛に溺れていく「英器」。
 クールで感情を決して表には出さない、妖しい魅力を持った「塔子」という女。
 その、氷のような微笑みの奥にはどんな謎が隠されているのか。
 英器、刑事・烏城。故郷の親友・正午……。彼女の隠された過去を、真実を突き止めるために塔子を追う男達。追えば追うほどに、
彼女は不可解な過去が多すぎる……。
 彼女に恋した男達は次々とこの世から消えている。偶然なのか。金目当ての連続殺人なのか、。
それとも世にも恐ろしい悪女なのか……。
 果たして死んでしまった過去の男たちは口を開くことができるのか。
 また、追われながらも何かを探り、誰かを追っている塔子の真相は……。
 やがて英器が選ぶ愛の形とは……。

(あらすじ)
<第1回> 「そこに悪女がいる」
 外資保険調査部に勤める廣川英器(竹野内豊)は、大手保険会社から引き抜かれ、モラルリスク(保険金詐欺)を見分ける独特の嗅覚を持ちながら、人間の命を金に換えていく矛盾との戦いの中に身を置いていた。
 以前、英器が調査して保険契約を通した家庭に事件は起きた。
 掛け金も保証額も低額だったために英器はさして疑いなどしなかったが、借金返済のために小学生の娘の命と引換えに保険金を騙し取ろうとした実母が逮捕された。母は実娘に火の油を注ぎ殺人を企てたのだった。少女は一命を取り留めたものの重度の火傷を負わされていた。が、少女は英器に懇願する。「自分の不注意だから保障金を払ってほしい。母親が幸せになるためにはお金が必要なんだ」と。
 英器は自責の念とやりきれなさの中で次の調査に取り組む。
 都内近郊の永和女学館の教師・池永苑恵(木村多江)の転落事故死についての死亡保険金調査だ。
 そのころ、一通の投書が町田南署に舞い込む。「永和女学館女教師・池永苑恵の死は他殺で、犯人は学校の内部にいる」と。その通告文に過剰反応したのがキャリア組の刑事課長・烏城武史(仲村トオル)だ。彼は出世コースから外され、妻の眞砂子(中嶋朋子)との関係も冷え切っていた。単なる事故死ではなさそうなこの事件を利用し、再び本庁へ起死回生を狙おうと彼は企んだ。
 その投書の存在を知った英器の恋人、交通課の警官・庄野月子(内田有紀)は職務違反を覚悟の上で英器のために、その内部情報を流す。月子は警官であることより女を選んでしまう自分が嫌いではなかった。
 英器は月子の協力もあり、調査を進めていくうちに女教師・苑恵の同僚、地学教師・江木塔子(松嶋菜々子)の婚約者で青年実業家の久松皓一(及川光博)が変死していたことに気付く。それも苑恵の事故死と同時期だったことも。

<第2回> 「恋人たちは死んだ」
 塔子(松嶋菜々子)と英器(竹野内豊)が飲んでいたバーに正午(金子賢)が現れた。塔子を前に正午は、久松(及川光博)が塔子を受取人にした生命保険に加入したと話していたことを思い出していた。保険金を受け取ったのかと塔子に尋ねる正午。塔子は久松に、解約してくれなければ婚約も解消すると言ったと言う。塔子に疑いの目を向ける正午。それを見つめる英器。
 翌日、英器は苑恵(木村多江)の報告書を上司に提出したが、事件に関する拭い切れない疑惑がくすぶっていた。その晩、英器は月子(内田有紀)と、苑恵の事件の話をしていた。久松(及川光博)、苑恵、その接点とも言える塔子…。塔子には絶対何かあると踏む英器。
 次の日、塔子の学校に烏城(仲村トオル)が事情聴取にやってきた。英器、烏城・・・次々と自分を疑りに来る男達を疎ましく思う塔子は、苑恵の事件に関する「犯人は永和女学館の内部にいる」という謎の投書の情報を聞き出すために、自ら調査に乗り出す。 
 苑恵の実家に行く塔子。そこで塔子は思わぬことを耳にする。永和女学館に勤務するようになって3年、苑恵は笑顔を全く見せなくなったこと、3年前に紹介したい人がいると言って以来、その男性については音沙汰なく、葬式にもそれらしい男性は現れなかったこと。それは塔子が学校で知っている苑恵とは別人とも思えるような事実だった。
 生徒からも苑恵の情報を求める塔子。生徒は、苑恵が自分の過去の失恋を涙ながらに語り、自分の恋人を奪った女に復讐を企てていることを匂わす言葉を残していたと言う。苑恵の思い掛けない側面を初めて知る塔子。
 明くる日、町田南署の烏城のもとに妻・真砂子(中嶋朋子)とその父親で警察官僚の高畑(津嘉山正種)が訪ねてきた。高畑は烏城に、出世のポストを条件に、離婚届けに判を押し、娘を自由にしてやって欲しいと言う。断る烏城。義父の力を借りなくても自分の力で這い上がってみせると烏城は言った。
 一方、ローズ生命で英器は、九条生命のデータに塔子の記録があったことを知る。塔子は3年前、婚約者であった精神科医の柴田の保険金の受取人だったのだ。だが柴田は自殺。しかも柴田は死の直前に保険を解約していた。久松と同じパターンを辿っている塔子に英器は更に疑惑を募らせる。

<第3回> 「監視された女」
 永和女学館へ出向いた英器(竹野内豊)は、塔子(松嶋菜々子)と対峙し、「恋人に次々死なれながらも強く生きるあなたの姿に興味がある」と挑戦的な態度で迫る。塔子は英器の言葉に虚を突かれた。
 その後、塔子は、転落死した同僚教師、苑恵(木村多江)の過去を調べ始める。苑恵が、異様な熱意を持って赴任を希望していたことを校長から聞き出し、また体育教師・登川(伊藤明賢)からは、かつてある女に恋人をに奪われ、その女が「自分と同じくらい不幸なら許す」と復讐を仄めかしていたことを聞き出す。
 一方、塔子への疑いを断ち切れない英器(竹野内豊)は詳細を知るために久松(及川光博)が契約していた自社の金沢支店へ飛ぶ。久松の大学時代の友人を訪ねるうちに、いつか塔子とバーで話していた正午(金子賢)は久松の後輩であることを知る。
 同じ頃、殺人事件として独自で調査を進めていた烏城(仲村トオル)は苑恵の遺留品から意外な事実を知ることになる。レストランのレシート…その場所は金沢。しかも久松の事故死当夜だ。
 塔子も、生前の久松の不審な行動を、母、久松暎子(泉晶子)から聞かされていた。
 そして久松の納骨式がしめやかに始まった。久松の親族らと墓に向かう塔子は驚愕する。その敷地内に、英器、烏城、正午、その妹・七海(片瀬那奈)が遠くから久松の墓を中心に塔子の様子を伺っている。各々の視線が幾重にも交錯していた…。
 丁度その頃、月子(内田有紀)は塔子と苑恵の知られざる接点を入手していた…。

<第4回> 「12年前の保険金殺人」
 塔子(松嶋菜々子)は英器(竹野内豊)から、苑恵(木村多江)が塔子と入れ替わりで金沢の久松(及川光博)のレストランを訪れたことを知らされる。そして、苑恵と久松が密談を交わした翌日に久松が死んだことも。驚く塔子。英器はその反応を測るような目で見つめる。
 英器は塔子のかつての恋人・カメラマンの桧山(谷原章介)の最期をとらえたビデオ映像を桧山の仕事仲間・稲本に見せられる。瓦礫の山から飛び出した桧山。襲いかかった銃弾が桧山の命を奪った。桧山は死の直前、ビデオカメラに向かって塔子へメッセージを残していた。また、稲本によれば桧山の死後、桧山から塔子宛のエアメイルが届き、その手紙は塔子に渡したという。手紙の内容は果たして何だったのか?
 一方、月子(内田有紀)は烏城(仲村トオル)に、苑恵は塔子の部屋が見える場所にアパートを借り、毎日塔子を監視していた可能性があると報告する。月子はキャリア組の烏城に取り入ろうとしていた。
 翌朝、苑恵のアパートを強引に借り切り、塔子の部屋を監視する烏城の姿があった。
 正午(金子賢)のバイト先を訪れた英器。正午は、塔子の両親は塔子が中学生の時に亡くなっていると英器に告げる。だがそれ以上詳しく語ろうとはしない。あきらめた英器が帰ろうとしたとき、七海(片瀬那奈)が声をかけた。塔子の両親は無理心中をし、身寄りの亡くなった塔子は親戚に預けられ、大学になって金沢に戻って来たのだという。
 早速、会社の端末で英器が塔子の両親の件を検索すると…データが出てきた。 
 翌日、新事実が判明する。塔子の両親は英器の想像通り、生命保険に入っていたのだった。

<第5回> 「命を捧げるほど、君を愛す」
 両親は自分が殺したと言い放つ塔子(松嶋菜々子)の告白に、英器(竹野内豊)は衝撃を隠せない…。
 正午(金子賢)は、ある輸入代理店で、久松(及川光博)がスペインにワインの買い付けに行った際、ホテルで塔子とは違う日本人女性と会っていたことを聞かされる。新しい謎の出現に戸惑う正午。
 その日の午後、塔子(松嶋菜々子)は苑恵(木村多江)のロッカーの私物を処分していた。するとそこには見覚えのある錠剤があった。
 いつものバーに立ち寄った塔子は、苑恵と自分の接点に思いを巡らす。
 その頃、烏城(仲村トオル)から町田南署に呼び出された英器(竹野内豊)は、月子(内田有紀)と遭遇。月子の表情から、烏城は2人の関係を察知した。
 烏城は英器を脅しながら、情報交換を求めた。英器は仕方なく情報を提供する。それを基に塔子にまつわる様々な怪死事件について推理する2人だったが、確信の持てる推理は浮かばない…。
 英器が去ると、烏城は月子に声をかけた。「ローズ生命保険の廣川英器の動きを君に監視してほしい。」内部情報を洩らしたことを盾に、烏城は女性刑事として英器の行動を監視することを月子に命じるのだった。
 後日。塔子がいつものバーで飲んでいるところに英器が現れた。相変わらず疑いの目を向ける英器に、塔子は挑むように言った。自分が保険金絡みの犯罪者かどうか確かめる方法が一つだけあると…。

<第6回> 「日本海殺人事件」
 塔子(松嶋菜々子)が浮かべた涙を見て英器(竹野内豊)は驚く。塔子が恋人達の命と引換に手に入れたかったのは、保険金より価値があるものだったのか?
 翌日、烏城(仲村トオル)と月子(内田有紀)は、塔子にまつわる事件の記録映像を見ていた。ベルファストの市街戦で命を落としたカメラマンの桧山(谷原章介)。ホテルで自殺した柴田医師(山路和弘)。無惨な姿で港に運ばれた久松(及川光博)。3人の男達の死に共通するものは果たして何か? 月子は烏城に向かって「江木塔子を逮捕する時には、私に手錠をかけさせてください」と宣言する。塔子に心を奪われ始めている英器を取り戻すための決意だった。
 その日、英器は金沢で再度、調査に乗り出していた。久松(及川光博)の遺留品が気になった英器は、金沢西署に出向く。  一方、塔子は自宅で町田の地図を広げ、永和女学館と苑恵(木村多江)の事故現場をマーキングし、苑恵の帰宅経路を辿っていた。そして苑恵のアパートにもマーキングした瞬間、塔子の中で閃いた。
 苑恵のアパートに駆け付けた塔子。すると2階のベランダには望遠鏡が三脚に立てられていた。塔子は誰かに自分が監視されていることを確信した。
 烏城(仲村トオル)は英器が金沢西署にいると聞き、駆けつけた。久松の遺留品を手がかりにマリーナ周辺を聞き込みに廻る二人。そして事件当夜、久松以外の誰かがクルーザーに乗っており、その人物が久松を海に突き落とした後、泳いで砂浜に渡ったのではないか・・・と仮説を立てる。
 やがて民宿の女将が、事件当夜に「海辺で人が倒れているから助けて欲しい」と女の人が駆け込んで来たとの証言を得る。その女とは…。

<第7回> 「恐るべき抱擁」
 塔子(松嶋菜々子)の元に送られてきた携帯電話がなる。 
「この携帯電話が送られてきたことは、決して誰にも言うな」「周りを騙すんだ。お前の愛するあの男も騙すんだ」あまりのことに、棒立ちになる塔子。その声はボイスチェンジャーによって声質を変えられていた。
 父の仕事を手伝うため、実家に戻った正午(金子賢)は、七海(片瀬那奈)の部屋からスペインを背景とした久松(及川光博)と七海の2ショット写真を見つける。今年の3月に久松と七海はスペインで会っていた。正午は疑惑に支配されていく。
 後日、山中の地層で化石発掘をしていた塔子のもとに英器(竹野内豊)が現れた。もう塔子を疑うことはやめたと言う英器に塔子は軽く微笑む。
 英器は塔子を家まで送り届けた。だが別れ際、塔子は部屋の鍵をかけなかった。その時、英器の中で何かが弾けた。部屋に飛び込み、塔子を抱きしめる英器。二人はベッドを共にし愛し合った。しかし心の中では、お互いに対する疑念が未だにくすぶっていた。
 そして表の覆面パトカーの中には、英器を尾行していた月子(内田有紀)が必死に傷心と戦っていた。
 翌日、バー・アイスストームで英器と塔子が飲んでいるところに、烏城が現れる。事件の全貌がつかめたと言う烏城は、明日から捜査本部が再開されると2人に話す。
 そして保険調査のためにある解体工場を訪れた英器は、何者かに襲われ、鉄屑と廃材の下敷きになった。目の前に現れた人物は…。

<第8回> 「悲劇」
 正午(金子賢)が重要参考人として町田南署に連行された。  その晩、いつものバーで英器(竹野内豊)が飲んでいるところに烏城(仲村トオル)が現れた。烏城は真の狙いを英器に語る。
 「誰かが江木塔子を犯人に仕立てあげようとしている。犯人の目的はただ一つ。江木の人生を徹底的に破壊することだ」
 塔子以外の人間を逮捕すればきっと犯人は動き出すと烏城は睨んで正午を逮捕したのだった。そして「江木塔子は一人の男に愛され、幸せを掴みかけている。気をつけてくれ。柴田や久松の二の舞にならないように」と続けた。解体工場で殺されかけた恐怖を思い出す英器。しかし英器は「塔子の無罪が証明されるのなら喜んで囮になる」と言う。英器と烏城の間には一種の「絆」らしきものが生まれかけていた。
 丁度その頃、七海(片瀬那奈)は誰かと電話で話していた。
 翌日の夜、英器は塔子(松嶋菜々子)の部屋を訪れた。「桧山や柴田との関係について教えて欲しい。俺も塔子の5年間を一緒に背負いたいんだ」と言う英器。塔子もその気持ちに応え、これまでの五年間を語り出す。愛すれば愛するほどに、お互いの大切なものを奪い合っていった桧山との、そして柴田との恋愛。英器にはそんな塔子が無性に愛おしい。
 一方、町田南署の取り調べ室で正午が烏城に訴えていた。
「妹に連絡をお願いできますか。差し入れに来ると言って、もう二時間もたっています」
 「妹さん…?」眉をひそめる烏城だった…。

<第9回> 「犯人は君だ」
 七海(片瀬那奈)殺害の容疑で、月子(内田有紀)に身柄を拘束された塔子(松嶋菜々子)。塔子の後を尾けてきた英器(竹野内豊)は塔子は死体を発見しただけだと主張するが、月子にその言葉は届かない。
 塔子は町田南署の取調室で、殺害現場へと導いた携帯電話のことを烏城(仲村トオル)に話す。しかし、ゴミ入れに捨てたという電話は発見されなかったと月子が報告に来る。
 別室で取り調べを受けていた英器は、塔子を信じたい思いでいっぱいだった。しかし、塔子から千枚通しを突きつけられたこと、解体工場で襲われた直後に塔子が現れたことを思いだし、英器の心は揺れる。
 早朝、釈放された英器は聞き込みに回った。七海は前日、誰かを呼び出すような電話をしていたらしい。
 推理を巡らしながら、七海が殺害された公園へ足を運んだ英器。そこに烏城が現れる。烏城によると警察に通報してきた声はボイスチェンジャーで変えられ、性別も年齢も特定できないものだった。塔子の拘束時間は48時間、送検が決まればさらに3週間の拘留となる。「こうなったら俺たち二人でやるしかない」英器と烏城は真相の追及をしようと決意する。
 一方、塔子は厳しい取り調べに耐え続けた。そして48時間の取り調べの後、本庁からの命令で塔子は釈放されることになった。
 その頃、塔子のマンションの鍵を手に入れた英器と烏城は手がかりを探すため部屋を物色していた。烏城は塔子が釈放されたとの連絡を受け、塔子を迎えに行く。
 一人部屋に残った英器の目に棚に飾ってあったワインのボトルが飛び込んできた。そこで英器が目にしたものは…久松からのメッセージだった。

<第10回> 「対決」
 警察から釈放され、部屋に戻った塔子(松嶋菜々子)。そこにはワインのラベルの裏に書かれた久松(及川光博)のメッセージを読み終えた英器(竹野内豊)がいた。英器からボトルを差し出され、読むうちに、血の気が引く塔子。そんな塔子に英器は、男達を死に追いやったのも、苑恵(木村多江)や七海(片瀬那奈)を殺したのも塔子の仕業だったのではないかとたたみかける。
 「なら、私から離れなさいよ。同じ目に遭うわよ」言い返す塔子。だが英器は塔子から離れられない。「今、俺が言ったこと全てが間違いだと言って欲しい」と絞るような声で訴える。それが英器の本音だった。
 すると塔子は、これまでの男達とのことをすべて話し始めた。桧山(谷原章介)のこと、柴田(山路和弘)のこと、そして久松のことを。皆、塔子を狂おしく愛し、生命保険を解約した後、この世から去っていった…。
 両親を含め、自分の愛する人がことごとく消えてしまうことを恐れる塔子は、英器に言う。「お願い、あなたまでいなくならないで」「生きて欲しい。生き抜いて、私を愛して欲しい」。その訴えに打たれ、塔子を抱き締める英器。
 翌日、英器は桧山の仕事仲間の稲本(樋口浩二)の元を訪ね、桧山のネガフィルムを見せて欲しいと頼んだ。塔子以外の桧山の交友関係を洗うためだった。稲本は桧山のことを、プライベートな写真を仕事用のカメラで撮ったりはしないと言ったが、それでも英器は食い下がった。
 やがて、目が疲れてきた頃、英器の目に一枚のネガフィルムが飛び込んできた。そこには一人の人物が写っていた。
 英器は激しい衝撃に襲われる…。

<第11回> 「愛するということ」
 英器(竹野内豊)は生命保険を解約した。これで英器が殺害される条件は整ったわけだ。保険証券を燃やしながら英器は塔子(松嶋菜々子)に「やり直しの出来ない人生で、人間は何を拠り所にして生きていけばいいんだろう?」と尋ねる。「私には…あなたしかいない」という塔子の言葉に英器は塔子を抱きしめた。
 一方、倉本管理官(遠藤憲一)は、江木塔子が恋人が命を金に換算して自分に差し出したときに殺意が芽生える異常性格犯罪者であるという見地から、現行犯逮捕を目指していた。烏城(仲村トオル)は歯痒い思いで捜査会議を見つめるしかない。
 やがて英器の元に犯人から連絡が入る。「始めるぞ。」
 英器が、そして塔子が相次いで車をスタートさせる。警察の覆面パトカーも一斉に追跡を開始した。その包囲網の中には、烏城や月子(内田有紀)の姿もあった。
 町田南署の捜査本部には英器と塔子の車の現在位置が刻々と入ってくる。
2台の車はルートは違うものの、久松(及川光博)が死んだ金沢へ向かっていた。
<一覧のページに戻る


お問い合わせ Copyright (C) 2012 Hisashi Nozawa All Rights Reserved.